横須賀に来たのには、もうひとつの理由があった。
俺がまだこの世に降臨する以前に他界した母方の祖父が、この横須賀で軍の潜水夫をやっていたのだ。
その当時にしては、舟や山を所有したりして割と裕福な暮らしをしていたらしい。
お袋も、9人兄弟の末っ子の親父がアヒルの世話をし、木の実を食って空腹を満たしてた頃、原付に乗りコーラを飲んでいたのだから困ったものだ。
しかし、何時までも幸せが続かないのも、また人生である。
祖父は仕事中に亡くなった。
死因は地上からの酸素ポンプ停止・・・発表はアクシデントらしい・・・
残されたのは祖母とお袋と妹の女だけの家族。
その後、襲い来る現実は想像を絶する。
貧しい時代がそうさせたのだろう・・・
あるはずも無い借金等を返せと、沢山の人々が群がり、精根尽きた女家族は、全ての財産を手放すと引き換えに静かな日常を手に入れる。
しかし地に落ちた生活は、お袋も仕事着けの日々をもってしても楽にはならなかったらしい。
俺も幼き頃、計画的にやられた、人を見たら泥棒と思えと聞かされた思い出がある。
今思えば、かなり切ないものだ。
続く